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コイツもコンボで!DVT

今月の初め、大動脈解離を身体所見のコンボ技でうまく見つけようという記事を出しました。今回はDVT(深部静脈血栓)についてです。D-Dimer絡みでもこの2つの疾患は大事。
では、各所見を見ていきましょう。ちなみに、この元になったスタディの殆どでPE(肺塞栓)を疑わせるような症状のある患者さんを除外しています(あくまでもDVTのみ)。

Any calf or ankle swelling:感度41-90%、特異度8-74%、LR+1.2、LR-0.7
Asymmetric calf swelling,≧2cm difference:感度61-67%、特異度69-71%、LR+2.1、LR-0.5
Swelling of entire leg:感度34-57%、特異度58-80%、LR+1.5、LR-0.8
Superficial venous dilation:感度28-33%、特異度79-85%、LR+1.6、LR-0.9
Erythema:感度16-48%、特異度61-87%、LR+NS、LR-NS
Superficial thrombophlebitis:感度5%、特異度95%、LR+NS、LR-NS
Tenderness:感度19-85%、特異度10-80%、LR+NS、LR-NS
Asymmetric skin coolness:感度42%、特異度63%、LR+NS、LR-NS
Asymmetric skin warmth:感度29-71%、特異度51-77%、LR+1.4、LR-NS
Palpable cord:感度15-30%、特異度73-85%、LR+NS、LR-NS
Homans’s sign:感度10-54%、特異度39-89%、LR+NS、LR-NS

何かどれもパッとしない尤度比ですね…。Asymmetric calf swelling,≧2cm differenceだけがどうにかLR+が2を越えて、LR-が0.5となっている程度です。
Homans徴候は知らない学生はいないほどに有名なんですが、実際はアテになりません。偽陽性が結構多く、Homans先生も「この徴候なんかどーでもいーやぁ」となってしまったそうです(”if you wanted to name a sign after me, didn’t you pick a good one?”)。
そこで登場したのが、コンボを利用した”Wells’s score”です。1997年Lancetの中のもの(Value of assessment of pretest probability of deep-vein thrombosis in clinical management.)。
ポイント制になっていまして、その内容は9項目からなっています(DVT用のスコア。PE用のWell's scoreもあります)。

Active cancer:1 point
Paralysis, paresis, or recent plaster immobilization of the lower extremities:1 point
Recently bedridden >3 days or major surgery, within 4 weeks:1 point
Localized tenderness along the distribution of the deep venous system:1 point
Entire leg swollen:1 point
Asymmetric calf swelling ( >3 cm difference, 10cm below tibial tuberosity):1 point
Asymmetric pitting edema:1 point
Collateral superficial veins (nonvaricose):1 point
Alternative diagnosis as likely or more likely than DVT:-2 points

3ポイント以上をHigh probabilityとし、1-2ポイントをModerate probability、0ポイント以下をlow probabilityとします。それらの感度、特異度、LR+は…

Low probability:感度2-21%、特異度36-77%、LR+0.2
Moderate probability:感度13-39%、特異度…、LR+NS
High probability:感度38-87%、特異度71-96%、LR+5.2

この結果から、Low probabilityでD-Dimerが基準値内であれば、DVTの可能性は1%未満。圧迫エコーをするのと同等の正確さだそうでして、抗凝固療法や更なる検査はしなくても良いとされています。他の患者さんは全員(特にHigh probability)、D-Dimerが基準値内だとしても圧迫エコーが必要である、とのこと。High probabilityの場合、D-Dimerが大丈夫でも、最大25%の患者さんにDVTが見られたとする研究もいくつかあります。
2003年に、D-Dimerが0.4以下なら(ロッシュ社のキットの場合)、100%の確率でDVTを否定できるとした論文(A new rapid bedside assay for quantitative testing of D-Dimer (Cardiac D-Dimer) in the diagnostic work-up for deep vein thrombosis)がありますが、やはりD-Dimerだけではちょっと不安かと。
前述のWells’s scoreも正確には除外できないよ、と言っている研究(The Wells Rule Does Not Adequately Rule Out Deep Venous Thrombosis in Primary Care Patients)があるため豪鬼の瞬獄殺のようには行きませんが、今のところはこのシステムが最も信頼できるものとなっています。時が経てばもうちょっと良いものができるかもしれません。


c.f.精神科領域では、非定型抗精神病薬を新しく開始された患者さんは、DVTやPEのハイリスク群とされています。(2010/12/4)
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by m03a076d | 2008-12-24 00:07 | ★思うこと・医学一般